Yahoo知恵袋に下記のような質問がありました。
水素吸入が最近、話題になっていますが、実際に効果はどんなものが、ありますか、ご存知の方は 教えて下さい。
「水素吸入」とは、大量の水素を鼻から取り込むことです。
水素吸入によって、美容やアンチエイジング、健康維持、ガン治療などなど、様々な効果あると謳われており、多くの民間クリニックやサロンで水素吸入をすることができます。
この水素吸入、SNS上では「水素吸入って怪しい」「水素吸入って効果ないんじゃないの？」といった意見が散見され、その効果を疑問視する声が上がっています。
実際のところ、水素吸入は効果があるのでしょうか？
調査しました。
結論を言います。
水素吸入に効果はありません。
解説していきます。
・ 政府機関や都道府県・市町村といった公的な機関から「効果がない」と発表されているものに関しては、問答無用で「効果ない」と判断します。
・上記機関より「効果があるともないとも発表されていないもの」に関しては、できる限り研究論文を根拠にしつつ、インターネットやSNS上にある大量の口コミをAIにより分析し、効果ある/ないを判断します。
水素吸入効果に科学的なエビデンスはあるのか？単なる嘘？
水素は「活性酸素」と呼ばれる人間の体内で有害な物質を無害化する効果があるため、美容や癌の治療にも効果があるのではないか？と考えられてきました。
そのため、水素吸入器メーカーや産業ガス会社などがこぞって水素の効果を喧伝するようになり、その流れに乗って病院や美容サロンなどでも水素吸入が治療法の一つとして行われるようになります。
しかし、水素吸入効果は人間に対してほとんど認められていません。
いくつかの論文を引用してみましょう。
水素ガスの毎日の吸入は高血圧モデルラットの血圧を下げる効果がある
（引用元：https://www.nvlu.ac.jp/news/20210105-01.html/）
こちらは日本獣医生命科学大学の論文ですが、水素吸入によって自律神経が調節され、高血圧が改善される、というものです。
ただ、よく見ると「ラット」に対する効果が確認された、というだけなので人間に対する効果があるのかどうかはわかりません。
水素ガス吸入療法の可能性
こちらの論文でも、「動物実験モデルで様々な効果が確認されているが、医薬品として広く使用されるまでの道のりは未だ険しい」と書かれています。
つまり、ほぼ全ての水素吸入に関する論文は動物実験での効果が示された、というもので、人間に対する効果を証明したものはほとんどありません。
一方、水素吸入が心肺停止状態の人に対して回復効果がある、という論文もあります。
水素療法が画期的な治療法となりうる臨床試験結果報告：院外心肺停止患者への２％水素吸入療法で生存率24％上昇／予後の改善25％上昇
ただ、この論文が示しているのは「心肺停止状態」の患者に対して効果がある、というものです。
当然ながら美容効果やガンの治療に効果があるわけではありません。
水素吸入を行っているクリニックや美容サロンの広告を見かけたら要注意です。
「美容効果がある」「癌が治る」「水素吸入はうつ病に効果がある」「水素吸入が腎臓病に効果がある」などと書かれていますが、根拠となる論文は示されていないはずです。
なぜなら、人間に対する効果が証明されていないことがバレると困るからです。
水素吸入は危険ではないのか？水素バスは要注意！
小学校の理科の実験を思い出してみましょう。
水素と酸素を混ぜた状態で火を付けると爆発します。
つまり、火気の近くで水素を扱うのはとても危険です。
水素吸入は専門の病院やクリニックで行われるため、安全性は担保されているでしょう。
しかし、最近よく見かける「水素バス」は要注意です。
水素バスはお風呂に入れると水素ガスが出る入浴剤ですが、火気厳禁などの注意書きがない商品も普通に売られています。
また、あるドラッグストアでは、よりによってアロマキャンドルと水素バスを並べて「おすすめ商品」として売り出していました。
これでは爆発事故が発生するのも時間の問題、と言われても仕方ありません。
まとめ：水素吸入は美容やガン治療には効果ない
水素吸入は動物実験での研究成果が多少あるものの、人間に対しては一部の研究しか進んでおらず、
特に美容効果やガン治療における効果はほとんどないことがわかりました。
twitterなどのSNSで検索してみても、「水素吸入でxxが治った」という書き込みは皆無です。
また、インターネットで「水素吸入」と検索すると山のように水素吸入器の広告が出てきます。
これらの会社から献金を受けている医療従事者や大学も多く、まるで水素吸入に効果があるかのように宣伝されることも多いです。
実際のところ、ガンに効果があるのであれば大ニュースになっているはずですよね。
そうなっていない時点でお察しというところです。
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